家計のキャッシュフロー表


第13章 民法改正と相続問題。
2018年、民法の改正法案が国会を通過しました。その中で、相続関係に大きな改定が行われています。家計破綻と関係する事柄です。その今回の改定ですが、この背景には子供と親が一緒に生活することが無くなった時代であるからこそ発生する問題であるかもしれません。つまり同居ではなく、別居世帯が多くなったのです。一般例で説明しますと、親夫婦と子どもたちが別々に生計を立てているとします。そして、父親が亡くなります。父親の財産は法定通りに相続されると、奥さんが二分の一、残りを子供達が等分します。さて、現状の多くの家庭、特に都市部に暮らす親世代の財産は、土地建物と預貯金というケースが多いはずです。そして、その財産的な価値の割合が圧倒的に土地建物に偏っています。例えば、父親名義の土地の価値が5000万円、家屋が古くなっていて500万円、預貯金が700万円と言った具合です。この場合の父親の残した財産の総計は6200万円です。ですから、未亡人の母親には3200万円が、子供には合計で3200万円が相続されるのですが、現金は700万円しかありません。即座に法定通りに相続を実行することはできません。土地建物を共同名義にするとか、分割名義にするとかは出来ますが、お金がすぐに欲しいとか、固定資産税や修理費を負担したくないとか、いろいろな事情で、残された奥さんは土地建物を売らなくてはならないことも多いのです。更に言えば、親子の間に確執が生まれている家庭や母親が後妻さんだったりする場合には、穏便にことが済まないこともあるのです。

そこで、未亡人は仕方なく、ご主人との思い出の詰まった家屋や土地を売却することになりますが、多くの人は売却すれば、お金が入るはずだ。だから、生活は万全ではないかと思うのです。しかし、家を売った未亡人には安泰な生活は待っていません。不安感ばかりの人生となるのです。まず、土地家屋を売ることは譲渡益等の税金や不動産会社等への仲介手数料がかかります。長くお住まいなので、譲渡益税は無税ないし、低く抑えられるかもしれませんが、3200万円がそのまま残るわけではありません。そして、新しい家を買うことができれば幸いですが、そうでなければ賃貸になります。狭い家になるならば、家財の廃棄や整理しきれなければ、レンタルボックスなどを借りて、手間も費用もかかることになります。つまり、これまでなら、せいぜい年間15万円程度の固定資産税で済んでいた住宅費が、家賃ならば、公共の安い賃貸物件でも、月に10万円はかかります。年間で120万円です。仮に生活費と家賃の合計が月20万円としても、12年ほどで、預貯金は無くなってしまうのです。この未亡人の方の年齢が60歳台だとしても、長寿の時代です。必ず、12年以内に私は死ぬとは思わないでしょう。だとしたら、このことを計算したとたん、この先、真っ暗な人生を想像されるのではないでしょうか。

今回の民法改正で、このような未亡人に、法規では残された配偶者ですが、このような方に新たに居住権が認められました。つまり所有権は法定分で分けますが、未亡人が生きている間は、この住宅に住む権利が与えられるのです。土地家屋を相続した子供達には、未亡人の承諾がない限り、売却は認められません。貯金も半分の350万円が手元に残ります。固定資産税や修理費も、所有権の割合で負担義務がありますから、全額負担しなくても良いことになります。家が残されたことで、お先真っ暗な人生にも光明が見えると言うことになったのです。

しかし、多くの人にとっては、このような状況でも、未亡人は遺族年金などの年金と残された預貯金だけで、いつまで生きるか分からない自分の人生を楽しく生きていけるのかと思うかもしれません。まず、最初にお勧めしたいのは、夫婦が元気でいるうちに遺言状を残しておくことです。今回の民法改正でも、大きく改正され、遺言所の作成が優しくなりました。これまでのは、公正証書遺言でもない限り、すべて自筆とか、亡くなってから1カ月以内に家庭裁判所で、基本、全相続人のまで、開封して承認を得ることなどが規定されていましたが、総務省に届け出ることで、その手間が大幅に緩和されました。遺言書で、すべての財産を妻に相続させることが明記されていれば、あくどい子供がいたとしても、3/4以上の財産を配偶者に残しておくことができるのです。まして、お子さんのいない夫婦であれば、全財産を奥さんに渡す事が可能なのです。遺言書で、夫婦の財産を防衛することは大切なことです。


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